「2.9竪川弾圧」東京高裁の判決文です(不当判決を許さない)

平成25年11月19日宣告 裁判所書記官 串田智幸
平成25年(う)第947号

判決

フリーター
園 良太
昭和56年6月24日生

上記の者に対する威力業務妨害被告事件について、平成25年4月18日東京地方裁判所が言い渡した判決に対し、被告人から控訴の申立てがあったので、当裁判所は、検察官伊藤俊行出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

本件控訴を棄却する。

理由

弁護人河村理(主任)、同大口昭彦及び同上杉崇子の控訴趣意は、刑訴法第378条2号、訴訟手続きの法令違反及び法令適用の誤りないし事実誤認の主張、被告人の控訴趣意は、刑訴法第378条4号、訴訟手続きの法令違反及び法令適用の誤りないし事実誤認の主張である。

第1 刑訴法第378条2号の主張について
 論旨は、本件起訴は、①政治的な悪意の起訴であって、公訴権濫用に当たり、憲法31条、33条に違反し、②抗議団の中で被告人だけについてした不平等な起訴であって、憲法14条、31条に違反するもので、不法に公訴を受理した場合にあたり、刑訴法第378条2号の事由がある、というのである。

 そこで、原審記録を調査して検討すると、①については、原判決が、弁護人の原審における同旨の主張に対して説示しているとおり、本件起訴が所論の指摘する目的でなされたものとは認められず、②については、本件の妨害行為を行ったのは被告人であると認められるから、本件起訴は所論の指摘するような不平等起訴にはあたらない。所論はいずれも採用できず、論旨は理由がない。

第2 訴訟手続きの法令違反の主張について
 論旨は、本件起訴状だけでは、妨害された対象である業務の内容が特定できず、訴因が不明確であるとして、弁護人が釈明を求めたのに対し、原審は、検察官に釈明させずに、そのまま審理を継続した点において、判決に影響を及ぼすことが明らかな訴訟手続の法令違反がある、というのである。
 しかしながら、本件起訴状では、日時、場所、方法により妨害行為が特定されており、また、妨害の対象である業務の内容についても、江東区役所土木部及び環境清掃部の職員ら(以下「区役所職員ら」という。)の通常業務であることが記載されているから、これによって審判の対象や防御の範囲は明らかになっているものといえ、原審の手続きに所論のいう訴訟手続の法令違反はない。論旨は、理由がない。

第3 法令適用の誤りないし事実誤認の主張について
 論旨は、①区役所職員らの一連の職務は、強制力を行使する権力的公務であり、仮にそうでないとしても、違法な業務であるから、威力業務妨害罪における「業務」とはいえないのに、これが「業務」に該当するとした点、②被告人の行為を「業務」に向けられた「威力」による妨害行為と認定した点、③被告人の行為に違法性阻却事由を認定しなかった点、④区役所職員らの被告人らに対する実力行使を適法とした点において、事実誤認ないし法令適用の誤りがある、というのである。

 そこで①について見ると、まず、所論は、本件で妨害の対象となった業務は、区役所職員らの通常業務、退去命令及び監視・警戒業務が一体となったものであるとし、退去されないよう寝転んだ被告人の両手足を持ち上げ、宙づり状態にして強制的に庁舎外へ退去させた本件退去強制の態様は、庁舎管理権の行使として許容される有形力の行使の限界を超えており、被告人に対し強制力を行使する権力的公務であることは明らかである、という。しかしながら、本件当時の被告人の一連の言動及びそれが区役所職員らの業務を現に阻害し続けていたとみられる状況に鑑みれば、退去命令を執行するに際し、区役所職員らが被告人に対してある程度の有形力を行使することは庁舎管理上やむを得ないところであり、実際の執行状況を見ても庁舎管理権の行使として許容される限度内のものであったと認めた現判断は、当裁判所も相当としてこれを是認できる。

 また、所論は、本件退去命令は、正当な請願行為あるいは民主主義に基づく主権者の行政に対する正当な抗議・申入行動に対するものであり、明文の根拠がなく、違法である、という。しかしながら、原判決が説示するとおり、退去命令が発せられた要因は、被告人が中心となって大声で面会の強要等を執拗に繰り返して区役所職員らの業務の円滑な遂行を妨げたことにあり、また、被告人は、退去命令が発せられた際にも、「江東区は暴力をやめろ」などと大声を上げ、その執行に際しても、他の支援者らとは異なり、ひとりカウンターにしがみついて怒鳴り続け、廊下に寝転がるなどして抵抗し続けていたものであって、このような被告人の一連の言動は、正当な請願行為あるいは抗議・申入行動とはいえず、これに対してなされた本件退去命令は江東区庁舎管理規則第5条
(5)に基づく適法なものと認められる。

 ②についてみると、所論は、本件の被告人の行為は、人の意思を制圧するような勢力に当たらないから、「威力」に該当せず、また、仮に「威力」に当たったとしても、「業務」に向けられたものではない、という。しかしながら、原判決が説示するとおり、被告人は、退去命令の前後に上記のような言動をとった上、区役所外に退去させられた直後に、区役所職員らに対し、「こら。開けろ」などと大声で怒鳴りつけ、区役所職員の胸部等に自己の背部等を数回強く押し当てるなどし、区民ホールのガラス壁を数回にわたり蹴る行為に出ているものであり、退去命令の執行を受けて区役所外に退去させられた直後であることや退去命令前後の被告人の抵抗の状況に照らせば、区役所職員らが引き続き通常の業務に戻らずに、監視・警戒業務にあたらなければ、再び区役所内に立ち入って面会の強要等を執拗に繰り返すことが予測される緊迫した事態を招来させていたものといえるのであって、このような被告人の行為が、人に意思を制圧するような勢力の行使にあたることは明らかであり、また、被告人の行為は、区役所職員らの通常の業務を妨害することにより、面会の強要等を実現しようとする行為にほかならないから、「業務」に向けられたものであることもまた明らかである。

 これに対して所論は、区役所職員らの通常業務を中断して警備体制をとることは、抗議団が来庁し抗議を始めたときから予定されていたのであるから、被告人の行為が区役所職員らの通常業務に向けられたものとはいえない、という。しかしながら、抗議団の来庁に備え、あらかじめ警備計画が立てられていたとしても、退去命令にしたがわず、執拗にこれに抵抗する違法な行為に対応することが区役所職員らにとって予定された業務であるとは到底いえないのであって、所論は採用できない。

 さらに、所論は、原判決は、本件被告人の行為前後の抗議団全体の抗議態様を被告人の本件行為に含めて認定しており、これは共謀共同正犯を認定せずに、他人の行為の結果を被告人に帰責しているもので、個人責任の原則に反する違法がある、という。

 しかしながら、既述のとおり、本件の実行行為は、あくまで被告人が、区役所外に退去させられた直後に、区役所職員らに対し、「こら。開けろ」などと大声で怒鳴りつけ、区役所職員の胸部等に自己の背部等を数回強く押し当てるなどし、区民ホールのガラス壁を数回にわたり蹴るなどした行為であり、抗議団全体の抗議とは全く別の、被告人が単独で行った行為とみることができるのであって、所論は当を得ておらず、採用できない。

 ③についてみると、所論は、被告人の本件行為は、正当な抗議活動であるから、超法規的に違法性を阻却すべきものである、というのである。しかしながら、被告人の抗議の目的が正しいものであったとしても、そのための手段としてなされた本件行為がその態様からみて社会的相当性を逸脱した違法なものであることは明らかであって、所論は採用できない。

 ④について見ると、所論は、そもそも本件における区役所職員らの被告人らに対する実力行使の根拠となった江東区庁舎管理規則が区役所職員に強制力を行使する権限を与えたものとは解されないとしつつ、他方で、被告人に対して区役所職員らが行った実力行使について、ある程度の有形力を行使することはやむをえないとした現判断は、庁舎管理規則の解釈・適用を誤ったものである、という。しかしながら、本件における退去命令前の抗議行動への参加者の人数、抗議の態様、区役所内の滞在時間、退去命令に対する反応、被告人の抵抗状況に照らせば、区役所職員らが、退去命令の執行として、退去されないよう寝転んだ被告人の両手足を持ち上げて庁舎外へ運び、庁舎に入口にピケを張って侵入を阻止した行為は、通常の庁舎管理権の行使として想定される範囲内の行為といえ、これを庁舎管理規則により許容されるとした現判断は、相当として是認できる。

 さらに、所論は、本件における江東区の警備計画に基づく区役所職員らへの本来業務から警備業務への業務変更命令は、それ自体憲法15条1項の公務員の公僕性に反する違法の措置であった、というが、独自の見解というほかなく、採用できない。
 結局、所論はいずれも採用できず、法令適用の誤りないし事実誤認の論旨は理由がない。

第4 刑訴法378条4号(理由不備)の主張について
 被告人は、原判決には、弁護人の公訴権濫用の主張が認められないこと、被告人に威力業務妨害が認められること、区役所職員らが被告人を区役所建物内から退去させた行為が庁舎管理権の許容範囲内であること等についての説明や理由がないというが、いずれも現判決が説示する理由に対する不満を述べたものにすぎず、現判決に刑訴法378条4号に該当する事由はない。

第5 結論
よって、刑訴法396条により、主文のとおり判決する。

平成25年11月19日
東京高等裁判所第5刑事部
裁判所裁判官 八木 正一
裁判官 川本 清巌
裁判官 佐藤 正信

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