「2.9竪川弾圧」はいよいよ明日2月28日(木)13時半~東京地裁429号法廷で最終弁論を迎えます。12時~東京地裁前アピール、13時地裁入口で傍聴券配布、13時半~最終弁論、16時半~18時日比谷公園「グリーンサロン」で報告会です!ぜひご参加下さい。
判決日は4月18日(木)15時~です。裁判は中々分かりにくいものですが、そもそもこの弾圧は何なのか。これまでの裁判と前回の検察求刑で、権力の酷すぎるやり方と恐るべき狙いが明らかになってきました。「○○だから弾圧された」のではなく、全ての方に関係する内容です。ぜひ読んで下さい!
1:そもそも何があったのか?
・東京江東区・竪川河川敷公園の野宿の仲間の小屋に対し、江東区役所は話し合いを拒否して不当な追い出しを進めていた(スカイツリー再開発が名目)。2,012年2月8日、江東区は残る1軒の小屋に行政代執行を強行。殴る、蹴る、宙吊りにして排除する、小屋を叩き潰す、仲間を病院に拉致して雪の降る路上に放置する、という空前の暴力だった。区の責任者・荒木は翌日の団体交渉を「風邪引いた」と嘘をつき一方的にキャンセルした。
・翌2月9日、代執行への抗議、荒木に次の話し合いの設定、奪った横断幕を返すことなどを求めて江東区役所に10人弱で行き、当該・園も参加した。だが荒木は居留守を使い、職員も探さず、でたらめな答弁繰り返し、横断幕も「持ち主が分からないので返せない」。仲間は抗議の度合いを強める。園も「江東区は人殺しだ、暴力をやめろ」と声を上げ、役所に来た区民に「みなさん、区の暴力を知ってください」と呼びかけた。区は逮捕時の証拠集めのように勝手に撮影を始め、背後に大量の職員が排除体制で並び始めた。そして職員は突然「庁舎管理権に基づく退去命令」を早口で読み上げ、職員が園ら3人に飛びかかり、羽交い絞めにし、両手足を持って宙吊りにし、建物の外の廊下へ強制排除した。
・廊下では巨体の職員が入口に立ち塞がって入れなくした。職員はなおも撮影を続けた。園は暴力排除に怒り、中に入れる事を求めて声を上げたり、職員に背中を押し付けたり、大きなガラス窓を蹴ったりした。2回目に蹴った時、災害時に割って脱出するための薄いガラスだったため、割れてしまった。即座に職員が飛びかかって押さえ付けられ、警察に引き渡され「器物損壊罪」で逮捕された。職員は19時まで立ち続けており、江東区は2/9から竪川の人々が来たら「警備計画表」に基づいて警備・排除する事が決まっていた事が後に裁判資料で明らかになった。
・深川署→原宿署へ勾留された。接見禁止、自宅にガサ入れされた。最初の5日間は「保護房」という名の虐待部屋に入れられる。ガラスを割る気はなかったので代金を弁償した。普通はそこで「器物損壊罪」は終わる。だが2月29日に「威力業務妨害罪」に切り替えて起訴された。3月16日に東京拘置所へ移され、3回の裁判後に6月14日に保釈。2013年2月6日に検察から「懲役1年」を求刑され、最終弁論は2月28日、判決は4月18日。
・江東区はその後も12月5日に前代未聞の2度目の行政代執行を強行、巨大な鉄板で野宿の仲間の小屋を包囲。竪川の水道とトイレを止めた。役所に抗議に来ても建物に一切入れなくさせている。少年たちの襲撃も激化し続けている。
2:何が不当弾圧なのか?私たちが裁判で明らかにしてきた事
・江東区の野宿者排除と行政代執行は空前の暴力である。憲法や国際人権規約に明確に違反。
・だから翌日の役所抗議は正当。酷かったのは窓口対応の方だ。
・「庁舎管理権」で住民・市民を強制排除するのはどう考えても不当だ。
・ガラス代金は弁償した。それで終わらせず「威力業務妨害」に切り替えて起訴したのは、長期勾留できるからで、明らかに本人と竪川の運動を潰したいからだ。悪意の起訴。
・江東区・検察は「園らの抗議への対応で通常業務を妨害された」と言う。それが起訴の根拠。だが先に決まってた「警備計画」に基づいて警備をしたに過ぎず、つまりそれも通常業務。嘘をつくな。
・ましてや「大声を上げた」程度の抗議で、127日間も監禁され、接見禁止を喰らうなどありえない。本人と周囲がどれほどのダメージを受けたか!
・検察は裁判で、江東区の横暴、野宿者の人権問題、政治弾圧であること、等の「背景」を全て無視している。
・長期勾留を認め続ける、過剰な警備法廷にする、傍聴人を法廷から強制排除する‥‥裁判所も横暴。
・江東区は何も反省せず、さらなる暴力と行政代執行を繰り返している。
3:行政、警察、検察は「威力業務妨害で起訴→有罪化」で何を狙っているのか?私たちはどうなるのか?
「2.9竪川弾圧」とは、行政への抗議を民間企業への営業妨害と一緒くたにし、些細なことで逮捕・起訴・長期勾留した事です。この手法は釜ヶ崎選挙権運動への弾圧や今の関西反原発運動への大弾圧と同じ、運動つぶしのトレンドです。3.11以降特に高まった行政や電力会社への直接抗議行動をつぶす事であり、今後野宿の仲間のテントや様々な運動の拠点への行政代執行をやり放題にすることです。そして警察・検察・裁判所が馴れ合う日本では、一度逮捕すれば起訴→長期勾留→有罪化をエスカレーターのように実現できるからです。
彼らはそのためにどんな手を使うのか?検察求刑で明らかになりました。明日の園の最終弁論から引用です。跳ね返すには、まず何よりもこの「2.9竪川弾圧」の「無罪」を勝ち取ることです。問題を把握し、裁判に数多くの人が集まり、関心を高め抗議の声を上げ続けることです。ぜひ、2/28最終弁論、4/18判決への結集をお願いします!
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「私達の行動は行政への政治的交渉・抗議であり、民間企業への営業妨害とは別物だ。行政は区民からの苦情や要請に対応するのが仕事だ。一体これまで行政交渉をこんな理由で起訴され4ヶ月以上も勾留された例があるのか?これを許せば、日本国憲法で保証された表現の自由や請願権は根こそぎ奪われてしまう。そのため弁護人は「威力業務妨害に当たらず、起訴は長期勾留目的の弾圧」と公訴の棄却を主張してきた。
だが検察の求刑の稚拙さと酷さはここで極まる。何と「独善的、自己中心的」「規範意識が欠如している」などと私の人格を罵倒した上で、「訴因は裁判を求める検察官の主張事実であるから、それをどのように構成するかは検察官の責務であると同時に権能であるところ、被告人が‥通常業務を妨害したことは動かしがたい事実であり、これら通常業務がいわゆる非権力的業務と認められることは明白なのだから、威力業務妨害罪と構成することについて全く問題は認められない」と反論するのだ。ありえない決めつけ、こじつけ、居直り、悪意だ。
問題は事実をどう構成するかであり、検察が飴細工のように出来事を無理やりつなげて起訴するなど許されないからだ。「被告人は危険人物だ」「職員は嘘をつく訳がない」「起訴の内容は検察が決めるから口を出すな」という3段論法だけで裁判が成立すればもはや法など無関係になる。行政・警察・検察が「この人物は暴れる」と決めつけてマークし、でっち上げ逮捕し、検察が裁判官に「この人物は暴れる人間だから外に出さない方がいい」と演出すれば、まさしく誰でも逮捕と長期勾留ができるからだ。これは戦前の治安維持法の「予防拘禁」の復活である。「嘘」で塗り固めた末の予防拘禁など絶対に許されない。
自治体と検察にとって、今回を警備業務への妨害ではなく「通常業務への妨害」で有罪にできれば、市民が行政に抗議要請をした際にただ大声を上げたりしただけで、「職員が通常業務を中断して対応せざるをえなくなった」として「威力業務妨害」に仕立て上げられる。自治体は抗議要請対応も本来業務という「重石」を捨て去る事ができ、どんな悪政も可能になり、自治体と検察は自らの意のままに誰でも逮捕・起訴・長期勾留ができる恐るべきフリーハンドを得られてしまうのだ。例え市民側が逮捕の瞬間や行政・警察側の動きを映像に撮って「不当逮捕」と訴えても、市民が抗議活動に来た事実だけで逮捕・起訴できるなら無意味になり、裁判は逆に行政側の映像が証拠に使われてしまう。
そうして今後も増え続ける行政への抗議を全て潰す事が「威力業務妨害起訴」の狙いなのである。そう、今後福島の被害者や全ての貧困者が立ち上がった時のために。今回の竪川の不当逮捕・起訴は、そうした生きる権利を求めるあらゆる人のあらゆる行動を潰せる道を開くことなのだ。つまり自治体や東電のような公益性の高い企業の責任者が、住民や市民に何も説明せずに逃げ回る事が許される。庁舎からの強制排除をやりたい放題になる。そして窓口に行っただけで「威力で業務を妨害した」と逮捕・起訴・長期監禁が可能になるのだ。もし私が有罪にされればそれがやりたい放題になる。
どういう事かわかるか?子どもががんになり死んでしまった福島の親が、東電や首相官邸に来て「なぜ避難できるようにもっと早く賠償しなかった、避難指示を出さなかった、命を返せ」と言っただけで逮捕され、いつまでも拘置所に監禁できるのだ。全てを奪われた農家や漁師が財務省や経産省に来て「復興予算を付けてくれ」「もう原発には金を使うな」と申し入れしただけでそうなるのだ。家や仕事を失い死ぬ寸前の人が、役所に生活保護を求めてもまともに与えられず、追い詰められて大声を出しただけでそうなるのだ。私を有罪にするとはこういう事であり、私たちはそれを絶対に許さない。」