被逮捕者の実名公表に関する経緯説明

私たちはこれまで、2月9日に竪川で弾圧された匿名の仲間を救援し続けてきました。
救援会が当事者の名前を明らかにせず「Aさん」として支援してきたのは、以下の理由からです。

第一の理由は、権力による弾圧が個人の社会生活に与える甚大な影響を考慮したからです。

あたりまえのことですが、被弾圧者であるAさんは、誰もがそうであるように友人や知人、家族や仕事、地域との具体的な関係を持ち生きています。
人はその中で関係を切り結び、デザインし、どのような関係の中に生きるのか、自身で選択し生産し、廃棄することで生きるわけです。
しかし、被弾圧者であるAさんと、私たちとの間には決定的な違いがあります。
私たちは具体的な関係の中での対話や語らいの中で、自らの選択や生産や廃棄を行うことができます。しかし、Aさんはコンクリートの分厚い壁の向こうで、権力の監視や暴力のさなかに置かれた緊張状態の中で、関係の選択や生産や廃棄を、ともすればその行為そのものの意味に気付くこともなく強いられるわけです。
被弾圧者としてAさんが名前を明らかにすることは、Aさんが生きるひとつひとつの関係に微妙な変化を与えるでしょう。また、その変化はこのあとAさんが生きていく時間の中で将来にわたって影響を与えていきます。
被弾圧者として名前を明らかにすることは、Aさんにとって重い決定です。その決定から生じることについて、Aさん以外の誰も責任を取ることはできません。したがって、そのような決定は、弁護士と1日に数時間しか連絡のできない環境で行う性質の決定ではない、少なくとも身柄を取り戻して、Aさんと自由に討議できる環境の中でAさんが行うべき決定だと私たちは考えました。

第二の理由は、この弾圧が、被告人となった個人への弾圧ではなく、野宿者運動に限らず運動全体に対する弾圧としての性格を持つからです。

これまで救援会のブログでもお伝えしてきたように、Aさんは当初の逮捕容疑である器物損壊(その後不起訴)ではなく威力業務妨害容疑で起訴とされました。
国は竪川公園からの野宿者排除への抗議そのものを「犯罪」として裁こうとしているのです。
もしこの事件で有罪判決が出るのであれば、不当な行政活動に抗議する人はすべて、逮捕され起訴されることになり得ます。
「威力業務妨害」での弾圧は、そういった意味で特定の個人にかけられたものではなく、いつ誰がかけられたとしてもおかしくない「Aさん」への弾圧なのです。

バスティーユ牢獄の塀を誰かが乗り越えて近代共和政は生まれ、ヘイマーケット広場に誰かがたどりついて8時間労働制は生み出されました。そこにあった人は、もちろん名前のある個人です。しかし、誰が乗り越え、誰が辿り着いたかは、一部の好事家を除けば関心を向けるべきものではないでしょう。
重要なのは乗り越え、辿り着いた誰かがいたことそのものです。運動において個人を英雄主義的にあるいは犠牲的に差し出すことは悪弊に過ぎず意味のないことだと私たちは考えてきました。

しかし、そのような歴史的・運動的な次元とは別の次元に、実際の弾圧は置かれています。いかように歴史的な意味付けや運動的な意味づけをしたとしても、実際には刑事事件として裁かれることに変わりはありません。まして、日本の刑事訴訟制度のもとでは、公判前・中にも事実上の身体刑罰が続けられ、経済的な負担も当事者に過大に圧し掛かることになります。

この環境で、被告人として長期にわたる裁判を闘っていかなければならないのは、コンクリートの分厚い壁に阻まれた向こう側にいる、Aさん個人なのです。
この1カ月あまり、救援会と本人は制限された交通の中で、議論を交わしてきました。
その結果、Aさんが刑事被告人として社会に姿を現して生きる判断を私たちは受け取り、そこから派生するさまざまな影響についてともに取り組んでいくことを選び取りました。
今後は、名前を明らかにして闘うAさんを支援し、無罪をかちとる闘いになります。
どうぞ注目と支援をよろしくお願いします。

2.9竪川弾圧救援会

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